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(4)解雇規定の重要性を説明します


今回は、就業規則の数ある規定の中でも、最重要項目と考えられる、「解雇事由」についての説明です。経営者として、必ず知っていなくてはならないことです。今回のページは是非最後まで読んで下さい。
 
 まずは簡単に、解雇というものがどういうものかを理解しましょう。解雇は使用者側からの一方的な労働契約の解消です。つまり社長が「おまえはクビや!」と言う事です。そして、民法(627条)の規定によると「解雇は原則として使用者が自由に行なえる」とあります。つまり社長は「おまえは気に入らんからクビや!」と原則として自由に言って良いのです。
 
 ですが、目を閉じて想像してください。
 そんなことって許されたでしょうか・・・?
 そうです、大抵は許されません。民法では原則自由と書いてあるのになぜ許されないかというと、単純に労働者が可哀相だからです。労働者は立場が弱くて可哀相なので、労働者を守る為に国は労働基準法(18-21条)で次のように定めました。
 
 「一部の解雇禁止を除いて、原則自由。ただし法が定める手続きを取ること。」
 
 前半は民法の考え方に近いのですが、後半で労働者を守ります。解雇するにはちゃんとした手続きが必要だと言っています。
 
 これで多少は労働者が守られるようになりました。
 でも・・・?これは、言い方を変えるとちゃんとした手続きさえ取れば使用者は自由に解雇できると言っているようなものです。これではまだまだ労働者が可哀相です。ですが、つい最近までは労働法を持ってしても、この解雇という問題については法律上はこの程度しか労働者を守っていませんでした。
 
 つまり、解雇するのは自由だと法律上は言っていたのです。
 
 ここまで読んで「意外だなぁ」と思われた経営者の方々が多いのではないかと思います。その感覚は、当たっています。なぜなら皆様が思っている通り現実には「 解雇するのは難しい」からです。
 
 なぜ、法律で自由にできると言っている解雇が難しいのか?それは、裁判所が労働者を守る為に目を光らせていたからです。
 
 例えば、労基法の解雇禁止規定に出ていないからといって「従業員Aの顔が気に入らない」として法定の手続きにのっとり適法に解雇したとします。これは認められるのか?という問題なのです。もちろん認められません。
 
裁判になったら会社が負けるのは目に見えています。これを(解雇)権利の濫用といいます。つまり、「解雇する権利は確かに法律上認められた権利だけどその権利を使うことは、甚だしく不公平なので認めません!」と、裁判のたびに裁判所が言っていたのです。
 
余談ですが、裁判で争われる問題の多くに、この権利の濫用法理の争いあります。これは、法律で認められた権利であっても、それを行使することがとても不公平で不合理である時に使われる法理です。つまり、法律上はどちらも権利が主張可能であるわけで、それをお互いの弁護士が、どちらが正しいか戦うわけです。
 
 法律で細かく解雇が有効な事由を規定してあれば良いのですが、まさか、法律に「無断欠勤が一月に5回続いたら解雇可能」とか「上司と不倫関係になり職場秩序を乱したら解雇可能」などこと細かに、あらかじめすべて規定するわけにもいきません。
 そこで、裁判所が解雇の可否を判断するということになるのです。
 
 そして、昔から様々な解雇事件が裁判所で争われてきて、今では、判例のルールがだいたい確立してきました。この判例のルールが、平成15年の労働基準法の改正によりついに明文化されたのです(18条の2)。
 
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は その権利を濫用したものとして、無効とする。

 これを誤解を恐れずわかりやすく言い直すと
そんなことでクビにするのは可哀相でしょ?と一般的に考えられるような場合には、解雇はできません。という意味です。
 
 このように法律上も、行き過ぎの解雇は無効だと加えられたことで解雇のルールや、解雇の可否についての基準がわかりやすくなりました。わざわざ裁判をしなくても、ケースによって解雇が可能かどうか、判断しやすくなったといえるかもしれません。

 解雇が難しいといっても、経営者の方々にとって、どうしてもやむを得ない会社の事情というものもあると思います。実際に、世の中には解雇を実施する企業がたくさんあります。
 
 そして、労働争議に発展するケースも多々あります。最終的には、裁判で決着をつけるしかないのは変わらないのです。
 
 そこで、経営者の方にぜひ覚えておいて頂きたいのが、就業規則に解雇事由が記載されていない、または制裁のところに懲戒解雇事由が記載されていない場合は裁判になったら負ける可能性が高いということです。
 
 誤解がないように補足しますと、就業規則に記載があれば必ず解雇が正当化されるというものではありません。
 
 「顔が気に入らない時は解雇する」というのが就業規則に記載されていても、駄目です。あくまでも、客観的に合理的であり、社会通念上相当であると認められるような規定が必要です。
 
 その規定が就業規則に記載してあってようやく労働者と戦える。なければ、まず勝ち目はない。そのくらい厳しいものだと思っていてください。

 今回ご説明した部分は、まさに会社の盾となる部分でした。ぜひ、ご自分の会社の就業規則をチェックしてみてください。
 
 解雇規定がちゃんと記載されていますか?
 制裁の項目に、懲戒解雇の具体的な理由の記載がありますか?
 
このあたりは、会社によって内容が大きく異なる部分です。私どもは日々裁判の判例や、厚生労働省からの通達などを研究し、どのような就業規則なら会社を守れるのか?を考えています。
 出来合いの就業規則ではあなたの会社は守れません。



補足

(注意)この項目では、問題が起こってしまってからのケースについて詳しく説明させて頂いておりますが、私どものスタンスは本来「経営者と労働者双方の不満が起きないような良好な職場環境を構築する為のお手伝いをする。」が基本となっております。その為に、色々な労働裁判や様々な労働環境問題について日々勉強しているのです。
 
 ご相談をいただくのは、問題が起こってからの場合が多いのですが、実際には問題が起こってから出来ることは限られますし、経営者サイド、労働者サイド、どちらにも傷は残るでしょう。
 
 ですから経営者の方々には、ぜひ一度、
 「わが社には問題が起きていないから大丈夫だ。」という段階で私どもにご相談いただきたいのです。
 就業規則の診断は、「会社の予防注射」なのですから。

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