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就業規則の判例
就業規則の不利益変更等の判例を紹介します


タケダシステム事件 (最高裁昭和58年11月25日)

 (事案の概要)
 多数労働組合の組合員である女子従業員らが就業規則の不利益変更について訴えたもの。
 
 就業規則における元の規定は
 『女子従業員は毎月生理休暇を必要日数だけとることができる。そのうち年間24日を有給とする。』
 であったのですが、 変更後の規定は
 『女子従業員は毎月生理休暇を必要日数だけとることができる。そのうち月2日を限度とし、1日につき基本給1日分の68%を補償する。』 となっていました。
 
 そこで女子従業員らは、
 「 旧規定の下においては、年間24日以内の生理休暇を取得しても、基本給を減額されなかったが、新規定の下においては、1ヶ月につき2日以内の生理休暇についても基本給を32%減額され、2日を超える分の生理休暇については基本給を100%減額されることとなった。」と主張しました。
 
 原審では、労働者又は所属する労働組合の同意なしに実質賃金を長期的に低下させるような不利益変更を一方的に行うことは許されないから、本件就業規則の変更は女子従業員らに対し効力を生じないとしました。つまり従業員サイドが勝ったのです。
 
 しかし、最高裁の判断は違うものになりました。

 (最高裁判決の抜粋)
 新たな就業規則の作成又は変更によって、労働者の既得の権利を奪い、労働者に不利益な労働条件を一方的に課することは、原則として、許されないが、当該規則条項が合理的なものである限り、個々の労働者において、これに同意しないことを理由として、その適用を拒むことは許されないと解すべきことは、当裁判所の判例とするところであって(最高裁昭和43年12月25日大法廷判決〈秋北バス事件〉)、今これを変更する必要を見ない。したがって、 本件就業規則の変更が女子従業員らにとって不利益なものであるにしても、右変更が合理的なものであれば、女子従業員らにおいて、これに同意しないことを理由として、その適用を拒むことは許されないというべきである。
 
 そして、右変更が合理的なものであるか否かを判断するに当たっては、変更の内容及び必要性の両面からの考察が要求され、右変更により従業員の被る不利益の程度、右変更との関連の下に行われた賃金の改善状況のほか、会社側の主張のように、旧規定の下において有給生理休暇の取得について濫用があり、社内規律の保持及び従業員の公平な処遇のため右変更が必要であったか否かを検討し、更には労働組合との交渉の経過、他の従業員の対応、関連会社の取扱い、我が国社会における生理休暇制度の一般的状況等の諸事情を総合勘案する必要がある。
 
 しかるに、原審が長期的に実質賃金の低下を生ずるような就業規則の変更を一方的に行うことはそもそも許されないとの見解の下に、本件就業規則の変更が合理的なものであるか否かについて触れることなく、右変更は女子従業員らに対し効力を生じないと速断したのは、就業規則に関する法令の解釈適用を誤ったものといわざるを得ず、その違法は判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、論旨は理由があり、原判決中会社側の敗訴部分は破棄を免れない。
 (以上抜粋)



合理性を判断することが重要

 
つまり、不利益変更には合理性があるかどうかをしっかり判断してから就業規則の有効性を見ましょうという事を最高裁があらためて述べたわけです。
 ちなみに上記文章は、判例文ではX・Yなどと表記されていますが、わかりやすくするために女子従業員・会社などと表記しなおしてあります。ご了承下さい。
 
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